第4章 遁逃
廊下を走って出口を目指す。
ドンッと強い衝撃を受けた。
「おわっ」
「キャッ」
反動で床へ倒れ込む。
本当にどうしようも無い。
現実を受け止めた直後に転ぶなんて。
情けなくて泣けてくる。
床に座り込んだまま、両手を付くものの力が入らない。
「ごめん。大丈夫?」
優しい声に堰を切ったように涙が溢れる。
「うっ…ひっ…く……」
「え!?痛いの?」
「どこ!?」
「怪我した?」
あたふたと焦る声に『違う』と言いたいけれど、うまく言葉が出ない。
言葉の代わりにどんどんと溢れる涙。
「病院行く?」
首を横に振ると少しホッとしたのか、怒濤の質問攻めは終わりを迎えた。