第26章 癒着*
規則正しい寝息をたてる日菜乃。
「タガが外れちゃったよ…」
汗で濡れた髪を撫でる。
「大人気ない事しちゃって…ごめんな。」
いつの間にか体を丸めて眠る姿に胸の奥にほんのり温かさを感じた。
この感情は…何?
日菜乃の横に寝転び、軽く抱き締める。
「ちっちゃい体…。」
「無理させちゃったよな。」
額にそっと口付け、腕の中に閉じ込める。
確かに可愛い顔してる。
でも…かなり年下…
恋愛対象では無かったし、本気になんてなるわけ無い。
チヤホヤされる女の子にありがちなオトコの噂。
数名のオトコの名前を聞いていたものの噂程度にしか思ってなかった。
そのはずなのに。
その中にタツの名前…
タツが、この子に手を出すなんて。
もし本当ならば引き寄せられたモノが何なのか気になる。
会う度に声を掛けて距離を縮めた。
どんなモノか、少し味見する気持ちだったのになぁ……。
いつの間にかミイラ取りがミイラになったよ…
「いつか俺のこと見てくれるようになるのかな?」
「……何言ってんだか。」