第24章 予覚
まさかタツくんの部屋にいたのが日菜乃ちゃんなんて…
意外だな……。
てっきりノブ君の事が好きだと思ってたんだけど。
それにしても、この記憶力。
我ながら驚くなー。
でも…さすがに櫻井さんに全部話すわけにもいかないし。
いや。でも。
隠し通すのも絶対無理。
櫻井さんの好奇の視線を見つめながら大きくため息を付く。
「えっとですね。」
「偶然だと思うんです。」
「ちょっと似てるネイルをしてる子がいて。」
「それが日菜乃ちゃんかどうかは分からないんですけど。」
「は?爪見たんなら、顔も見てるだろ?」
「いや……」
「下手に隠し事すんなよ?言っちゃいな。」
「えっと…足しか見てないんです。」
「………?」
一瞬の沈黙の後、櫻井さんはニヤッと笑って僕に問う。
「誰かの部屋にいたんだろ?」
目の奥に宿る光。
楽しい玩具を見つけたような瞳。
「なぁ?日菜乃は、誰の部屋にいたの?」