第24章 予覚
「日菜乃ちゃんは、次は何時から?」
「いえ…もう終わりです。」
「マネージャーが行方不明で…待ってるところです。」
「そうなんだー。それで、捕まっちゃったんだね?」
「おいおい。捕まったなんて、心外だな?」
日菜乃の肩を抱き寄せる。
「俺たち仲良しだもんなー?」
「櫻井さんっ!」
顔を真っ赤にさせて、櫻井さんの手に触れる日菜乃ちゃん。
「わぁ!可愛いネイルだね?」
「ピンクに蝶々?」
「あっ…はい!」
「ん……?蝶々…蝶々…」
「このデザイン…何処かで…」
日菜乃ちゃんの指に顔を近付けるとパッと手を隠される。
「えっと…お気に入りのデザインなんです!」
「蝶々なら、人気のデザインですから他の方と被っちゃったんですかね?」
肩をすくめて、微笑む。
~♪♪
「あっ。マネージャーから電話です!」
「櫻井さん。代永さん。申し訳ありませんが、失礼します。」
「ではっ」
早口で挨拶を終えると、そそくさと部屋を出て行く。
その背中を目で追う。
…………。
「随分よそよそしいな?」
「………っあっ!!!」
突然発せられる声に俺は視線を翼に向ける。
「何だよ?急に…」
「いや…何でも無いです。」
「あ”?何でも無い訳ないだろ?」
ズイッと顔を近付ける。
「いやー。そのー…」
目はキョロキョロと動く。
面白い気配しかしない。
「ここまで来て、言わないで逃れるなんて出来ないよ?」
「もう…」
諦めたのか大きくため息を付く。