第22章 庶幾
「あれ?日菜乃ちゃん?」
可愛い声に振り向けば、可愛い女の子。
「唯ちゃん!」
業界で唯一仲良くしてくれる友達。
小倉唯ちゃん。
「この前貰ったハイタッチメモリーすっごく可愛いかったよ!」
「ありがとう~。」
「あ。森本さん。おはようございます。」
「おはようございます。」
モニターから視線を上げて、軽く会釈をする。
「日菜乃ちゃん?一緒に座らない?」
「え?そう出来たら嬉しいけど…」
チラリと視線を横に向けると唯ちゃんが察知してくれたのか話し掛けてくれる。
「森本さん?いいですか?」
「はぁ…小倉さんに言われたら断れないですよね。」
「数少ない水澤のご友人。今後ともよろしくお願いしますよ。」
そう言うと、PCを閉じ机をしまい席を立つ。
「行って来い。」
珍しく優しい声。
少し戸惑うけど…
機嫌が悪くならないうちに。
唯ちゃんの後に付いて移動した。