第18章 喫驚
挨拶も済ませ、1時間程経過。
岡本さんは、店のずっと奥の方でキャストやスタッフに囲まれ楽しそう。
今の私の席からは、よく見えない。
でも、いいの。
『よろしく』
思い出すだけで頬が緩むの。
目の前のグラスに入ったビールを一気に飲み干す。
そろそろ帰ろうかな…
席を立とうとテーブルに両手をつけると同時に肩を押さえ付けられた。
「!?」
見上げれば、見覚えのある顔。
「あー。タツさん!お疲れさまです!」
「来てくれたんですね!」
「お疲れさまです!」
「こちらへどうぞ!」
次から次へと嬉しそうな声が聞こえる。
私の横を通り過ぎながら、ボソッと囁く。
「約束通り来てやったよ。」
ニヤッと笑い、被っていたキャップを被り直しながら店の奥に進んで行った。