第16章 霽月
髪を乾かし、ワンピースに袖を通す。
「打ち上げ…」
「やっぱり行きたくないな…」
私は、あまり…と言うか同性の声優さんに好かれていない。
だから、打ち上げにもあまり参加したくないのが本音。
でも、行かなければ『新人のくせに』って言われるし。
行けば行ったで『新人なのに』って言われるのが毎度のこと。
一緒に作品を作ったスタッフさんへの労いと感謝の気持ちで参加はするけど、心から楽しめた事なんて一度も無い。
今日は…
岡本さんは……来るのかな。
顔を合わせたって、話す事なんて無いのに。
最後に岡本さんに会ったのはあの日。
あの日の私は、貴方の目にはどう映りましたか?
胸の中には、靄(もや)が掛かる。
この靄もやはいつか晴れるのかな…。