第15章 落涙
「お前、何でそんなとこ座ってんの?」
久々に聞く声に振り向く。
「達央さん…」
「ほら。」
差し出される手。
「早くしろよ。」
急かされ、その手を取る。
「よっとっ」
グイッと引かれて、反動で胸に飛び込む形になった。
「欲求不満?」
クツクツと咽を鳴らして笑う。
「………。」
抗議の視線を向けると視線を逸らされる。
「冗談だよ。」
クルッと向きを変え、出口へ歩みを進める達央さん。
「おい。帰らねーのかよ。」
「帰ります!」
「ならさっさとしろ。」
別に一緒に帰るなんて言ってないんですけど。
でも…
一人でいるより、誰かと一緒にいたい…
だって…さっきのことを思い出しちゃうから。