第5章 本当のこと
とても、怖かった。
体が動かなかった。
「そうだよ、君を都合いいように使ったよ」
ほら…やっぱり。
「…これを嘘だと言ったら?」
…え?
「女子が寄ってくるのが嫌だったから丁度告白してきた君と付き合った…これが全部嘘だったら?」
「何…をいってるの?」
言ってることが分かんない。
嘘?え?全部…なんで?
と、そのとき降矢君が一歩前に進んだ。
ぞくっと背筋が凍りついた。
なぜか反射的に後ろに下がった。
一歩進んで 下がって
繰り返して、いつの間にか壁にぶつかっていた。
「何…?そういうのやめてよ。私のことどうも思ってないじゃん」
「思ってたら…いいの?」
「は?」
「分かんないの?」