第5章 本当のこと
と、外から声が聞こえてきた。
サッカー部の掛け声だった。
「洸君…頑張ってるかな」
自然と声がでてしまった。
「…」
降矢君は何も言わなかった。
あれから、洸君はずっとおかしい。
普通にふるまっているように見えて何かを…悩んでいるような気がする。
幼馴染だから、それくらい分かる。
「あ、そういえばあのあと保健室で二人…だけだったけど。何かあった?」
洸君に聞こうとしたけれどなんとなく聞けてなかった。
「…別に」
そう言って彼は次の予習をし始めた。
「そっか…」
「なんで?」
え?
「なんでって…最近様子おかしいし」
「ほっとけばいいじゃん」
…降矢君?
「幼馴染だから気になるとか心配とか…あいつだって…好きなヤツぐらいいるんじゃないの?ずっと関わらなくてもいいじゃん」
「それは」
「それでも関わろうとするならさ。あいつのこと好きってことになるじゃん」