第12章 だいすきなひと
小学中学年とき、元々不仲だった両親が離婚した。
原因は母の浮気だった。
親権は父に渡った。父方の祖父母が譲らなかったようだ。
母は自身の行いに負い目を感じ、わたしのことはすぐに諦めた。
父親との生活は、もっと辛かった。
普段からわたしに関心のない父だ。
母がいなくなった今、どうにかして気を引こうと、今まで以上に頑張った。
けど、100点を取ろうが、金賞を取ろうが、
父がもうわたしの頭を撫でてくれることはなかった。
それから暫くして、父の仕事の都合で、わたしも転校することになった。
その時期は、何にも興味がなかったし、ただ無気力に生きていた。
いくら頑張っても、大切な人に認めてもらえない虚しさだけが灰のように積もっていくようだった。
それでも、きっといつかは、と期待が心の何処かに残っていたのか。毎日勉強机の前に向かうことだけやめられなかった。