第2章 後編
「やっぱりもったいないよ。そうだ! 今度合コンとかしてさっ」
夜、この町一番の繁華街を歩きながら友人が言う。
今日一日遊んだふたりは、先ほど夕食を終え帰途についていた。
「いいって。大丈夫。彼氏はまだいらないし」
「そーお?」
そう言いつつ、やっぱり不服そうな友人。
ユメはそんなふうに自分を心配してくれる友人に感謝する。
と、そんなときだった。
「ねぇねぇ、おねぇちゃんたち~!」
いきなり目の前に柄の悪い4人の男たちが立ちふさがった。
「これからどこ行くのー?」
「ねぇ、俺たちと遊ばな~い?」
「いい店知ってるんだよね~」
完全に酔っ払っている口調。
どんなに平和な世の中になっても、こういう輩はいなくならない。
ユメはげんなりしながら言う。
「もう私たち帰るんで。行こ」
「う、うん」
男たちを大きく回りこんで先に行くふたり。
だが男たちは嫌な笑みを貼り付かせながら二人の後をついてくる。
「ユメ~、ついてくるよ」
怯えたように言ってくる友人。
「無視してれば、そのうち諦めるよ」
……だが、男たちはなかなか諦めなかった。
面白がるようにわざと一定距離を保ってついて来る。
だんだんと人気のない住宅街の方に入ってきた頃、ユメもさすがに焦り出した。
思い切って後ろを向いて大きな声で怒鳴る。
「いい加減にしてください! 迷惑です!」
「うわ! 怒られちったー!」
男たちはゲラゲラと笑い出した。
その態度に頭にきたユメは、ショルダーバッグを男たちの方に振り回す。
バンっ!
「でっ!!」
男のうちひとりの顔面に見事それが命中してしまった。
男たちの態度が一変する。
「こっのアマぁぁ!!」
4人とも物凄い形相でこちらを睨んでくる。
ヤバっ!!
背後にいた友人の手をとって逃げようとした、その時だった。
「何してるんだ!!」
男たちの背後から大きな声。
その聞き覚えのある声に、ユメの胸は高鳴る。
「あぁ?」
男たちが振り返る。
そこに立っていたのは、紫色の髪をした一人の青年だった。