第1章 前編
私には好きな人がいる。
3年前、一度だけ会った、金色のあの人に。
私はずっと恋してる。
「ねぇ、ユメって何で彼氏作らないの?」
「だから、前から言ってるでしょ。好きな人がいるの」
「だってその人って前に一度会ったっきりなんでしょ?」
「うん」
「名前も、どこに住んでるかもわかんないのに、まだ好きなの?」
「そ。私ずっと彼を待ってるの」
「約束とかしたわけ?」
「……ううん、してない。でも待ってるの」
目の前の友人は心底呆れた表情。
わかってる。無謀だってことくらい。
……そんなこと自分が一番わかってる。
でもね。この恋は特別だから。
忘れられるわけがない。
私を助けてくれた、あの人。
金色に光るあの人を、忘れられるわけがない。