第2章 昔の記憶。
二人を連れて里から離れようとした時。
妹の千鶴が泣き出した。
『おかぁさまぁ〜!』
弟の薫もつられて泣き出す。
『まだこんなところにいたのか。わりぃがお前たちには死んでもらうぜ!』兵士に見つかった。
もぅお終いだ……。
兵士が剣を振り下ろそうとする。私たちは目をつぶった。
ガサっ。
桜『あれ?しんでない?』恐る恐る目を開けると、目の前には、父が立っていた。
父『みんな。早く……逃げろ…父さんのぶんまで幸せにな。』
兵士に心臓を貫かれ、血まみれの父が微笑んで言った。
私は千鶴と、薫の手を引き、その場から逃げた。
ごめんなさい。父様。ごめんなさい。
泣きながら心の中で叫んだ。
そして太陽が天に登り始めた時。私たちは里からずいぶん遠くまで来ていた。