第4章 処遇
「優希様!!」
自らが発した声に政宗達が振り返り、青ざめていくのが見えた気がした。何かにつまずき、倒れそうになっていることに優希自身が気づいたのと三成が懐刀を横へと投げ捨てたのは同時のことだった。
きゅっと目をつぶりながら手をばたばたと動かし、前のめりに倒れていく優希に三成は祈るような気持ちで駆け寄り腕を伸ばした。畳を蹴り、小さく飛び上がった三成の胸元に優希の顔が当たるのを感じると彼はしっかりとその顔を抱き寄せた。そして
背中に鈍く走る痛み
鼻に広がる甘い香り
頬にかかる黒くつややかな一筋の髪
全身に感じる柔らかい、確かな重み
閉じていた目をそっと開けば、真っ赤に染まった顔で、潤んだ瞳でこちらを見つめる彼女がいた。
……私は今、優希さまのことを
自分のしたことの大胆さとすぐそばにいる優希の存在をはっきりと意識した三成の顔がみるみると赤くなった。もう怪我をさせないようにと、前のめりに倒れていく優希を支えることしか考えていなかった。だけれども。
まさか、自分の方へと抱き寄せるように倒れこんでしまうなんて