第13章 不調
一「・・・・・無事です。局長」
近藤「今の間は何だ?本当に無事なのか?」
なおも土方の肩を前後に揺らし続ける近藤に
土方「落ち着いて下さい近藤さん!」
近藤「ああ、すまない取り乱した」
やっと解放された土方が溜息を吐く
一「先程、左之と平助が松本先生の処へ連れて行きました」
土方「怪我はしてねえって斉藤から聞いたし疲れでも溜まったんだろう」
近藤「それなら良いのだが」
屯所での一騒動と時と同じく
平助「せんせーい、松本先生!」
ドンドンと忙しなく戸を叩く
松本「ここを何処だと思っとる、静かにせんか!?」
ガラッと戸を開く
左之「松本先生!急患だ見てくれ」
左之に抱かれ真っ青な顔色の萩を見て驚く
松本「入って奥に寝かしなさい」
そっと褥に下ろされ横になると手首をとり脈を計る
松本「っん、これは・・・・」
普段は感じることの無い場所から脈を感じる
手のひらと手首の境目にあるシワの横線と小指から真っすぐ下に進んだ縦線が交わる処から
平助「先生!萩は大丈夫だよな?」
松本「体調が悪くなったのは何時頃からだね」
萩「・・・2,3日前からです」
松本「原田君、ここから四半刻行った処の団子屋の隣に住んでいる梅さんって人を呼んで来ておくれ」
左之「わかった。梅さんだな」
返事をすると急いで梅のもとへ走って行く
松本「藤堂君は一度屯所に戻り近藤さんか土方君を呼んで来ておくれ」
平助「ああ、行って来る。萩すぐ帰って来るからな」
だだだっと走り去って行く
松本「萩さん君は確か沖田君の恋人だったね?」
萩「はいそうですが」
突然に総司の話が出て小首を傾げる
松本「沖田君のもとへ嫁ぐ予定ですか?」
萩「えっ//あの・・・嫁ぐと言うかずっと一緒にいようとは約束しました」
ほほを染めながら言う萩に
松本「そうですか、それは好かった」
うんうんと頷きニコニコ微笑む
左之「先生!連れて来たぞ」
松本「おお、早かったな」
梅「ほっほ、最近の若いもんは走るのが速いのー」
左之に担がれて楽しそうにやってきた
梅「おお、おお、可愛らしいお嬢さんじゃのう。診察するから男共は廊下で待っとれ」