第13章 不調
大通りまで辿り着くと平隊士が倒れた浪人を縄で縛っていた
一はその輪から少し離れて立っていた
平助、左之『斉藤!萩は無事か!?』
一「平助と左之か・・・・・悪いが萩を松本先生の処に運んでくれ」
チラッと目線を動かし一の陰に隠れ下を向いて座り込んでいる萩を見る
一「俺は3番組と1番組を屯所に連れて帰らなくてはいけないのでな」
平助「萩!怪我したのか?大丈夫か?」
肩を持って軽く揺すりながら声をかける
一「ダメだ揺らすな!?」
萩「っう・・・・・」
口を押え蹲る
左之「平助何してる!?」
平助「えっ!何も・・・どうしたんだ萩?」
一「兎に角、今は自分で歩くことは困難だ。左之、運んでくれるか?」
左之「わかった・・・萩少し揺れるぞ」
口を押え蹲っている萩の膝裏に手を差し込み抱き上げる
左之「行くぞ平助!」
平助「ああ、萩すぐに良くなるからな!?」
なるべく揺らさぬように素早く移動をする
左之「軽いな・・・少し痩せたか?」
抱き上げた萩の顔は青白い
総司の処と屯所を行ったり来たりと何かと忙しい、疲れでも溜まったか?
去っていく左之達を見送り
一「こいつ等を屯所に連行する」
平隊士と捕らえた浪人を引き連れ屯所へと帰えって行った
一「ただいま戻りました」
土方「帰ったか斉藤。こいつ等が萩を倒したのか」
連行された浪人は雑魚にしか見えない
一「殆どの浪人は最初の一撃で斬り伏せましたので攻撃は当てられていません」
土方「ならなぜ倒れたんだ?」
一「倒れたと言うか急に座り込んだんです
それで、匂いがどうとか言ったいましたが・・・」
土方「匂い?」
一「はい。『血の匂いが』と言っていました」
匂いだと?今まで斬りあいは何度もあったが血の匂いなど気にした様子は無かったぞ?
土方「・・・・・それで萩は」
一「左之と平助が松本先生の処へ連れて行きました」
土方「そうか・・・・・」
萩の言葉の意味を考えていると
近藤「トシー!!萩君が倒れたと聞いたが無事か、無事だと言ってくれ!?」
だだだだっと床を踏み鳴らして走って来た近藤は土方の肩を掴み前後に揺さぶる