第9章 潜入調査
男は転がるように階段を駆け下りて行く
風間「来い」
萩の手を掴み近くの部屋に入って行く。風間と向かい合って座るとスッとお猪口を差し出す
風間「お前は此処の芸子だろう?酌も出来んのか」
ムッとしながらも笑顔をつくりお銚子を持ちお酌をする
萩「助けていただきありがとうございました。私はこれで失礼します、行く処がありますので」
スッと立ち上がる
風間「俺が貴様を見逃すとでも思ったのか?萩」
そう言うと立ち上がった萩の手を引き腰に手を回して閉じ込め顎に手かけ覗き込む
風間「なかなかに美しな。我妻に相応しい」
萩「離して!」
身を捩じって抜け出そうするが腰に回っている手は緩まない処かさらに力を込めて抱きしめ顔を近づけて来た
萩「ちょ、やめ、貴方からの口づけなんか要らない!」
風間「俺からしてやるんだありがたく思え」
萩「何その上から発言、お・こ・と・わ・り・です」
風間はふと少し考え、考えた結果
風間「"俺から"の口づけが不満なら"貴様から"俺にすれがいいだろう?」
萩「はぁ!何言ってんの?"貴方の"口づけは要らないの!」
風間「・・・何?要らないだと、俺の口づけを」
"貴方の"を強調して言った結果やっと理解してくれた
萩「そうよ要らない、貴方の妻になどなりません。私に触れていいのは総司だけよ!」
風間「そうじ?・・・ああこの間のあいつか。俺に負け、お前に守られる様な弱い男の何処が良いんだ?」
キッと睨む
萩「総司は弱くないわ、私を守ってくれてる・・・強さは力だけでは無いのよ風間」
萩「傍にいるだけで私達は強くなれるし幸せになれるの、たとえこの先何があっても2人でいれば乗れ越えられるわ」
幸せそうにふんわり微笑む
風間「ならば俺に見せてみろ」
萩「えっ!」
風間「貴様の幸せとやらを」
萩「いいわ、見せてあげる」
クッと口元に笑みを浮かべ手を放すと
風間「行け、行く処があるのだろう?」
萩「ええ、さようなら風間」
ふすまを開き廊下に出ると
風間「貴様が幸せでは無いとわかったその時は俺が攫いに行ってやる、その時を楽しみにしていろ萩」