第3章 あなたは誰?
近藤「それから、そこのトシが副長で、横にいる山南君が総長を務めて・・・」
土方「いや、近藤さん。なんで色々教えてやってんだよ、あんたは」
近藤「・・・む?ま、まずいのか?」
永倉「情報を与える必要が無いんだったら、黙ってるほうが得策なんじゃないですかねえ」
藤堂「わざわざ教えてやる義理は無いんじゃね?」
うろたえる局長を見て、原田は皆を取り成すように笑った
原田「ま、知られて困ることもねぇよ」
近藤は少しの間しょんぼりしていたけれど、気を取り直したように居住まいを正した
(近藤さんって皆に好かれてるなぁ。)
近藤「・・・さて、本題に入ろう。まずは改めて、昨晩の話を聞かせてくれるか」
近藤に視線を向けられた斎藤は、かしこまった仕草でうなずくと話し始めた
斎藤「昨晩、巡回中に[失敗]が暴走し斬りあいとなりました・・・」
斎藤は[失敗]についての報告を終えるとちらりと萩達に視線を向ける
千鶴は思いきって口を開く
千鶴「私、何も見てません‼」
斎藤は無表情もままで、沖田は笑顔のままでみている
藤堂「なあ。おまえも何も見てないのか?」
萩「はい。見てません」
([失敗]が何なのかわかんないし)
萩はきっぱりと言い切る
藤堂「ふーん・・・。みてないんならいいんだけどさ」
永倉「あれ?総司の話ではお前らが助けてくれたって話だったが・・・」
千鶴「ち、違います!」
千鶴は思わず萩を見てしまう
萩「そうですよ。新選組の人達は私達に助けられるほど弱くないでしょ?きっと間違いですよ」
にっこり微笑みながら萩は答えた
永倉「・・・それもそうだな」
永倉は口を閉じ2人をみつめる
沖田「へぇー。でも君僕たちと同じ位つよいでしょ?」
笑顔でみていた総司が殺気を纏いながら萩に近づいて来た
総司「だって[失敗]と戦ってたでしょ?あれはどう説明するの?」
萩「刀をこの子に向けていたので私は助けただけですよ?」
原田「戦ってたっていうのはどういうことだ」
原田が沖田に尋ねる
沖田「僕が到着した時、この子が素手を[失敗]と倒してるところをみたんですよ」
原田「素手で!!!!」
原田だけでなく永倉、藤堂も驚き萩をみる