第3章 あなたは誰?
永倉「じゃ、やっぱり見ちゃったってわけじゃねえか」
千鶴は必死に震える声で主張する
千鶴「私、誰にも言いませんから!」
山南「君に言うつもりが無くとも、相手の誘導尋問に乗せられる可能性はある」
千鶴「う・・・・・・」
山南「それに、彼女は[失敗]を倒したんのでしょ」
山南さんの優しい声色のまま、萩達にとって厳しい現実を静かに語った
沖田「ほら、殺しちゃいましょうよ。口封じするなら、それが一番じゃないですか」
近藤がたしなめるように沖田を見た
近藤「・・・総司、物騒なことを言うな」
その言葉を聞いた沖田は、困ったように目を伏せた
総司「そんな顔をしないで下さいよ。今のは、ただの冗談ですから」
斎藤「冗談に聞こえる冗談を言え」
斎藤の言葉に沖田は照れたような笑みを浮かべる
井上「しかし、何とかならんのかね」
井上は困ったように眉を寄せる
・・・・・・・・・・
斎藤「土方さん・・・結論も出ないし、一旦。こいつらを部屋に戻しても構いませんか?」
そう言って、彼は私達に目を向ける
土方「そうだな、頼めるか」
土方の言葉に、斎藤がうなずいた
山南「私もその判断には賛成しますよ」
斎藤「・・・・・・行くぞ」
千鶴、萩「はいっ」
広間を後にしようとした時
・・・・・・萩・・・・・・
萩「・・・え!」
萩は振り向ききょろきょろと辺りを見渡すと総司と目があう
・・・・・・萩 僕のことを・・・・・・
総司「・・・なに?」
萩「あの、いま私の名前を呼びましたか?」
微笑を浮かべながら
総司「君の名前・・・まだ知らないなあ」
(そうだ、ここに来てからまだ千鶴ちゃんにしか名乗ってない)
・・・・・・萩 僕のことを・・・・・・思い出して
萩「・・・思い出す?」
・・・・・・僕の名前を・・・・・・
(僕を思い出してって何・・・あなたは誰?)