第3章 あなたは誰?
井上に案内された部屋では、いかにも強靭そうな男達が集まって私たちを待っていた
2人が入ったとたんに突き刺すような視線が一斉に向けられる
(うわぁ、凄い)
笑顔をたもちながら萩は千鶴と共に用意された中央の席につく
沖田「おはよう。昨日はよく眠れた?」
最初に声をかけて来たのは昨日楽しそうにしていた沖田だった
萩「はい。手首が少し痛かったけどもよく眠れました」
萩がそう答えるとにやにやと笑いながら
沖田「ふうん・・・そうなんだ?でも今君、縄をしてないように見えるけど・・・」
確かに千鶴は縄をまだしているのに萩はしていない
井上「いやね、どうもこの子は縄抜けが出来るみたいでね」
???「はぁー!!!!!!」
がたいのいい人と長身の人と髪の長い若い人が声を上げる
(うーん・・・たしか、がたいのいい人が永倉新八、長身が原田佐之助、一番若そうな人が藤堂平助だったかな?)
(凄いな!本当に薄桜鬼の世界だー。やっぱりみんな強いんだよね?)
にこにこと微笑みながら萩がみんなを見まわしていると
沖田「へぇ。それじゃあもう一度縛ってみようか?見てみたいなぁ」
沖田は縄を持って萩の前に膝をついている
(いつの間に!!)
萩「いいですよ。縄抜けも得意です」
にっこり微笑んで素直に両手を差し出すと沖田は手際よく萩の手首を縛る
沖田「さぁ。それじゃやってみてくれる・・・?」
萩は笑顔で頷くと手首を動かしてあっという間に縄を外した
萩「はい。ほどけました」
沖田「へぇー器用だね。でも、何で縄抜けなんかが得意なのかな?・・・もしかして君・・・間者?」
沖田は笑みを消し殺気を放つ
土方「・・・おい、てめぇら。無駄口ばかり叩いてんじゃねぇよ・・・」
土方の呆れ返った声が響くと、沖田は殺気を収めて元の位置に帰る
土方「で、てめぇ何で縄抜けなんかが得意だってぇんだ?」
土方が萩を睨む
萩「えっと。実は子供の頃からよく誘拐されてまして・・・」
土方「はぁ!!誘拐!!!!」