第11章 インペルダウン
「それは構わんが、渡したい物とは?」
「当日になったら分かるよ」
ハンコックが麦わらと繋がってくれていてよかった。
これがバレたら海軍に入れないだろうな〜
なんて呑気に考えていた。
「…そうじゃ!そなたにデザートを持っていたのじゃが、いるか?」
「いる!!」
やったー!
デザート、デザート♪
ハンコックは部屋に置いてきたらしいので取りに行ってくれている間に私も別の場所へ向かう。
「…これだ」
私はそれをポケットの中に入れて部屋に戻った。
まだ、ハンコックが戻ってきていないのを確認して鍵付きの引き出しの中に入れておく。
「さて、ココアでも淹れておきますか」
コポコポと音を立てながらほんのりとした甘い匂いが部屋の中に広がってきた頃ハンコックが戻ってきた。
「待たせたな」
「全然待ってないよ。で、なにを持ってきてくれたの?」
「うむ、女ヶ島特製のシュークリームだ」
箱を開けるとクリームがふんだんに使われた大き目のシュークリームが目に入る。
「うわぁー!!おいしそー!あ、そうだ、ココアを淹れたんだけどハンコックもココアでいい?」
生憎ここには紅茶なんて洒落た物ないしね。
「かまわん」
私は箱からシュークリームを出してお皿に取り分ける。
「わぁー、本当においしそうだね」
「当たり前じゃ」
と、さも当然のように言っているけど、実は耳が赤くなっているなんて知らないんだろうな〜
私の周りにはツンデレが集まってくるようです。
「じゃ、いただきまーす」
早速一口かじると隙間からクリームが溢れてくる。
「わっ!美味しい!」
生地はさっくり、クリームは濃厚!
まさに最高のシュークリーム!
「気に入ってくれて何よりじゃ」
ハンコックもかじった隙間からクリームが出てきてほっぺについている。
あー。
絶対海賊女帝のこんな姿を見てるのは世界で私だけだと思うよ。
「ねぇ、もう1個もらっていい?」
「もちろんじゃ」
「やったー!」
その日は久しぶりに1日中2人で盛り上がっていたのだった。
そして、エースの公開処刑前日。
どうやらエース派無事にマリンフォードに到着したみたい。
一方海軍はいつ襲撃してくるかわからない白ひげに警戒態勢が続いている。
エースがきたから余計かな?
「いよいよ明日か…」