第11章 インペルダウン
それから麦わらの一味はシャボンデイ諸島で黄猿、バーソロミュー・クマ達によりバラバラにされたそうだ。
「へぇ…。そんな事になっていたんだ」
エースの事で頭がいっぱいだったからそこまで回りきっていなかったっていうか…
にしても、天竜人を殴るってそんな大事件をよくやってくれたよ。
エニエス・ロビーでもそうだったけど、かなりの問題児だね。
ニコニコと麦わらの事を話してくれるハンコックは可愛いと思う。
…思うんだけど…あれ?
「ハンコックって男嫌いじゃなかったっけ?」
「ギクッ!」
不自然に肩が飛び跳ねた。
…怪しい。
「…ちょっと、部屋に行こうか」
腕を掴んで強制的に私の部屋に連れて行く。
「で、なんで男嫌いのハンコックから“麦わらのルフィ”という名前が出てくるの?」
机を挟んで正面に向き合うような形で座っている。
ハンコックは目線を下にして黙ったまま。
「はぁ、別に私は報告しないよ?何処ぞの頭が硬いやつじゃないし、麦わらの一味はお気に入りだからね」
「そ、そうなのか⁉︎」
滅多に海賊を気に入らない私が気に入ったと言って安心したのか、ハンコックは麦わらのルフィの馴れ初めを話してくれた。
その様子はまさに恋する乙女。
私とは縁のない姿だった。
が、雰囲気がガラッと変わった。
「…のう、レティ。実はそなたに言っておきたい事があるんじゃ」
言っておきたい事?
「なに?」
「実は…」
その内容は衝撃的だった。
「まさか、ハンコックがねぇ…」
スケールの大きさにびっくりする。
まさか、麦わらがインペルダウンに侵入したなんて…
まさか脱獄したい奴はいても自ら侵入していくバカは麦わらぐらいしかいないだろう…
「本格的なバカだね」
それに、まさかエースと義兄弟だったなんて。
「やれやれ、また世界が驚くようなニュースだね…」
「…本当に誰にも言わぬか?」
「言わないよ。まぁ、麦わらのルフィが侵入したのは分かってるだろうけどね」
ハンコックが手伝った事に関してはなにも言わないよと言うとホッとしたような顔をした。
けど…
ハンコックは当日麦わらに加勢すると考えたほうが良さそうだね。
「ハンコック、火拳のエースの処刑当日、ちよっと渡したい物があるからここに来てもらってもいい?」