第11章 インペルダウン
私はスザクの手作りプリンを一口食べる。
入れた瞬間とろけるような感覚と甘い香りが鼻の奥からすうっと通り抜けたような感覚に思わず笑みがこぼれる。
「おいしい〜、やっぱりスザクの手作りお菓子はおいしいね」
何個食べても飽きないよ。
と言うとなにを思ったのかスザクは…
「では、お好きなだけ食べてください。
今日は何故かたくさん作ったので」
とまぁ、なんとも珍しい事を言った。
おそらく私を励ます?ためかな。
何時もなら食べ過ぎです!!って怒るスザクがお菓子を勧めてくるんだもん、よっぽど重苦しい空気だったのか顔がひどかったのかだろうな…
はは…
自分で言って泣きそうになる。
けど、ここで落ち込んだら大将スカーレットの名が泣く。
「じゃあ、追加でとりあえず5個持ってきて!」
「ご、5個ですか…」
流石にそこまでいきなり頼むと思ってなかったのかな?
「ほらー、はーやーくー!」
「ふっ、分かりましたよ。じゃあ、少し待っててください」
そう言ってプリンを取りに行ってくれた。
その間に今度はホイップを豪快につけて食べる。
「うーん、やっぱりおいしい」
心なしかさっきよりも気分が楽になった。
「ありがと、スザク」
インペルダウンを出て無事に本部に着いたんだけど、雰囲気がピリピリしているのがすぐに分かった。
「じゃあ、センゴクのとこに行ってくるよ」
「分かりました」
スザクに一言言ってからセンゴクのところに向かう。
「センゴク!」
ドン!とノックをせずに部屋にズカズカと入る。
「スカーレット、帰ってきたのか。その様子じゃ火拳のエースの事は知っているようだな」
「まぁね。あんなに新聞一面に飾ったんだから知らない方がおかしいよ」
嫌でも目につくっての。
あんなの。
「火拳のエースの処刑は3日後、ここマリンフォードにて執行される。お前にも出てもらうぞ」
「…白ひげはどうするの?」
「一応見張ってはいたが、既に振り切られて現在行方不明だ」
だめじゃん。
「で、どうするの?」
白ひげの居場所がわかんないんじゃいつ襲ってきてもおかしくないじゃないか…
だから、ここまでピリピリしてるのか。