第11章 インペルダウン
「まぁ、ちょっと話したいことがあってさ」
私はエースの方へ再び向く。
「なんでここにいるんだ?」
「…あなたが捕まったことによって、おそらく白ひげが動き出した」
“白ひげ”その名を聞いてピクッと肩が反応する。
ま、言うことを聞かずに勝手に出てきたからまさか白ひげが動くとは思っていなかったってとこかな?
「白ひげは仲間の死を1番嫌がるからね、おそらく政府はそれを分かった上で戦争覚悟であなたの処刑を決めたんじゃないかな」
仲間の死は白ひげ海賊団にとってはタブー。
それを分かっていても政府はエースを処刑すると大々的に報道したんだから。
「私は立場上、エースを助けることは出来ない。私は白ひげと…白ひげ海賊団と戦う」
…こんな事を言ってどうしたいんだろう。
けど、多分自分の中でエースとの、海賊達とのケジメをつけたいんだと思う。
元を辿れば私達は敵同士なんだから。
例え相手が自分の中で心を許している人物であっても海賊と海兵という立場は決して変えられない。
「…そうか。スカーレット、俺は…お前に会えて良かったよ…」
「なに…それ…」
自分から進んでここに来たはずなのに現実を突きつけられた気がした。
あぁ、私はどこかでまだ信じていたのかもしれない。
無事にエースが白ひげによって助けられたらまた元に戻れるかもしれない。と…
こんなんじゃ、本当に海軍大将失格だな。
エースに言われた言葉がズキズキと胸をえぐってくる。
「…さようなら、エース」
私は振り返る事もなくエースのいる牢屋から離れた。
きっともう、貴方と友達に戻る事はできない。
前を見るとそこには複雑そうな顔をするスザクが立っていた。
「話は終わりましたか?」
「うん。さ、本部に向かうよ」
近くにいたマゼランにお礼を言って私達はインペルダウンから本部へと向かうように進路をとった。
「はぁ…」
重苦しい雰囲気が部屋に漂う。
ははっ…
ここんとこため息しかついていない気がするよ…
はぁーとまたため息をこぼしているとふわっと甘い匂いがしてきた。
「大将、気分転換にプリンでもいかがですか?」
机の上に置かれたのはホイップが乗せてあるプリン。
「ありがとう、遠慮なくもらうよ」