第10章 つかの間の休息
「えっと、どうやって焼くの?」
このスイッチを押していいのかな…?
「けど、この中でケーキが焼けるとは到底思えないんだけど…」
焼くって言ってたから火を使うんだよね?
「あ!そうだ!!」
「少し遅くなってしまったけど、大将は大丈夫でしょうか?」
…不安だ。
調理場に近づくにつれて何やら焦げ臭い匂いというより、何かが燃えたようなにおいがしてくる。
「スカーレット大将?」
恐る恐る調理場を覗くとそこには呆然としたスカーレット退場がいた。
その目の前には真っ黒に焦げた(燃えた)残骸があった。
「…大将これは?」
「チョコケーキ…?」
いやいや、なぜこうなった?
と、いうよりいったい何をしてこうなった?
「えっと…チョコケーキなるものがどうしてこんな姿に?」
「その…オーブンの使い方が分からなかったというか…
オーブンの中に火を入れて焼くのかと思ったから…その…メラメラの実を…」
メラメラの実。
その単語1つですぐに理解ができた。
要するに、ケーキをオーブンに突っ込んで能力で燃やしたんだな。
まさか、最後の最後でこんなことになるとは…
「大将、すみません。俺が愚かでした。もう二度と料理をしろとは言いません」
「…ですよね」
その日からスカーレットは調理場には入らなくなった。
チョコケーキ燃焼事件から数日後、ニュース・クーが1つの新聞を届けた。
今日は全員忙しくて甲板に人はいてもバタバタとせわしなく動く海兵しかいなかったが、ちょうどその近くにスカーレットがいたので何気なく拾って読んでみると。
「…何…これ…」
ー火拳のエースインペルダウンへ投獄ー
表紙にデカデカと一面に飾ってあった。
「エース…っ!」
目の前が真っ暗になった。