第10章 つかの間の休息
「じゃあ、必要なものは用意してあるのでまずはチョコレートを湯煎で溶かしていきましょう」
湯煎…
湯煎?
知らない単語がいきなり出てきてプチパニックを起こす。
「えーっと、一緒にやっていきましょう」
スザクはボウルのなかに刻んだチョコレートを入れてそのボウルをお湯に浮かべる。
「これでチョコレートを溶かしていくんです。さ、混ぜて溶かしてください」
なんだ、そのくらいなら行けそうだね。
私はスザクに代わってもらってチョコレートを溶かす。
「…大体溶けましたね。じゃあ、今度はこの小さめのボウルにこの3種類の粉をふるってください」
これでと渡されたものに言われて通り粉をふるっていく。
…あれ?実は私って料理上手なんじゃない??
「では、ここにバターと砂糖を混ぜたものを作っておいたので卵を割って入れてください」
げぇ!
私卵を割るの苦手なんだよね…
慎重に両手で割ろうとするが…
グチャッ
「「あ…」」
見事に潰れてしまった。
「…」
スザクの無言が怖い。
「仕方ないですね。殻だけとって作業を続けますよ」
手際よくパッパと殻を捨ててくれたので私は泡だて器で混ぜていく。
「混ざったら先ほど溶かしたチョコレートを入れて再び混ぜてください」
「わ、わかった」
こぼさないようにゆっくりと混ぜていく。
「あとはふるった粉を加えて混ぜたら型に入れてオーブンで焼くだけです」
「意外と簡単なんだね」
ここまで何にも起らなかったのは奇跡だと思う。
やっぱり、私はやればできる子なんだよ。
自分で自分を褒めていると、入口のほうでパタパタと足音が聞こえてきた。
「スザク中将、少しお時間いただいてもよろしいでしょうか?」
「はい、すぐに行きます。大将少し外れますね」
「はーい」
何かあったのかな?
まぁ、スザクに任せていたら何の心配もないか!
うーんと、このくらい混ざったららいいのかな?
見た感じ綺麗に混ざったんだけど…
「ここまでちゃんとできてるしきっと大丈夫だよね!
えーっと、型に入れてオーブンで焼くんだよね」
スザクが用意してくれた型に入れる。