第10章 つかの間の休息
そう思うと1度芽生えた疑問は消えるどころかむしろどんどんと膨れ上がっていく。
「大将、つかぬ事をお伺いしますが、お菓子というか…料理を作れるんですか?」
ピタッと大将の手と口が止まる。
よく見ると汗がダラダラと伝っていくのがよく分かった。
「まさか…」
「そ、そんな事ないよ⁉︎…ただ、私が作るとなぜかちょっと真っ黒になっちゃうだけで…」
「まず、料理が真っ黒になるなんてありえませんよ」
という事は…料理の楽しさを知ってくれたら毎回お菓子分の出費が減るんじゃないか?
本来ならば買うよりも作る方が金銭的にはかかるのだが、スザクはとある島の存在を思い出していた。
そうとなれば善は急げだ。
「大将、実はこの近くにコスト島と言われる食料などが最安値で買える春島があるんです。
どうせならそこでお菓子の材料を買い込んでご自分で作ってみてはいかがですか?」
そうすればきっとお菓子分の出費が多少なりとも減ってくれるはず!と信じている。
「…や、君聞いてた?私がするとどんなものでも全て真っ黒になっちゃうんだって!」
バカにしてる!酷いっ!!
「俺が教えるので1回ぐらい一緒にやってみましょう」
「えぇ〜」
今回は珍しくスカーレットではなくスザクの指示で進路が決まった。
冬島を出て約1週間目的の島コスト島にようやく着いた。
「さて、じゃあ行きますよ」
珍しくハキハキと出発しようとしているスザクと…
「うぇー…」
テンションだだ下がりのスカーレットが町へと出かけていった、
いつもとまるで逆だ…と海兵たちが思ったとか思わなかったとか。
市場には活気があり、それぞれが好きなお店を並べている。
しかし、決定的に他の島とは異なる部分がある。
それは…
「いらっしゃい!小麦粉1㎏で120ベリーだよ!
大変お得だよ!」
「春野菜の詰め合わせ1袋90ベリーです!大変お求めやすくなっておりますよ!この機会にぜひ!」
と我よ我よと店主達が声をあげて商売をしている。
「…ここの市場の商品、どれもバカみたいに安いんだね」
「ええ、この島の気候は農業に適していまして、毎日大量の野菜や果物が出荷されるんです」
へぇ、だから全部通常価格よりも安くで売ることができるんだね。