第10章 つかの間の休息
「悪いがそいつは聞けねぇ相談だな」
ローは必死に頭をひねってどうやってこのピンチを抜け出すか考えるがスザクとの実力の差がある分殆どの作戦は無意味に終わることは目に見えていた。
…どうする。
互いに詮索し合っているとパンパンと手の叩く音がした。
「はいはい。君たちおっ始めるのはいいけど場所を考えようね」
いつから居たのか全く分からなかったがそこにはスカーレットがいた。
「まったく…一部だけいきなり天気が変わったからもしかしてって思ったんだけど…もぐもぐ」
スカーレットは手にミルクベビーカステラと書かれた袋を持っていおり、口は動かしながら視線はチラッとスザクを見る。
あいつが、大将スカーレットか。
気配がまるでなかった。
スザクよりもはるかに力量が上と一瞬でわかる。
ローは絶望しか感じていなかった。
「目的のものは買えたんですか?」
「んー、それがさぁー、聞いてよー」
…こいつらは海賊船にいるのになんでこんなに緊張感がないんだ。
この2人にかかればこの一味は一瞬でインペルダウン行きはまず間違いないだろう。
「ところで…確か君の名前は…うーんと、えーっと…」
いきなり思い出したように俺を見るが、名前が思い出せないのか唸りながら頭を抱えている。
「あっ!思い出した、リー君!」
「ローだ」
間髪入れず訂正をする。
ラ行という事しか合ってねぇじゃねぇか。
「あぁ、そうそう。ロー君」
再びもぐもぐと咀嚼し始める。
さっきまでスザクと対峙してピリピリしていた船の上は嘘のように穏やかな雰囲気が流れていた。
「さて、この海賊たちはどうします?」
チラッとこっちを見てくる。
「うーん。そうだなぁ…」
呑気に次々とカステラを口の中に頬張っていくスカーレットをみて少しばかり苛立ちを覚えてしまう。
「あ!そうだ!!君達この島限定の“アイスミルクレープ”を持ってたりする?
それを私に譲ってくれるっていうなら見逃してあげるよ!」
一瞬ローの表情が固まったがすぐにニヒルなえみを浮かべて近くにいた白クマを見る、
「ベポ」
「アイアイ!キャプテン!!」
ベポはバタバタと船内に入っていった。
それを見ていたスカーレットは…