第10章 つかの間の休息
忙しなく動くハートの海賊団にサッと風が吹いた。
「出航の必要はありません。」
バッと振り向くと中央に1人の海兵が立っていた。
「誰だ…お前」
背中に“正義”のと書かれたマントを羽織っているのだからそこそこの位だろう。
「突然お邪魔してすみません。
海軍本部中将のスザクと申します。ハートの海賊団船長トラファルガー・ローですね?」
有無を言わせない雰囲気に思わず尻込みをする。
スザクは凄まじい覇気を出して威嚇している。
気の弱い船員たちはパタパタと倒れていった。
「中将か…めんどくせぇのが来たな」
スザクという中将の事は聞いた事があった。
大将スカーレットの側近にしてヴェザヴェザの実の能力者。
まだローにとっては敵に回したくない位だった。
「どうしますか?このまま船員達と共に大人しく連行されますか?それとも無理やり連行されますか?」
ローにとってもピンチだがここは何とかして乗り切らなくてはいけない。
「どちらも却下だ。俺たちは新世界に行くんでね」
「…そうですか。では」
スザクは足元にあった船員の剣を手に取った。
「無理やりにでも連行させていただきます!」
スザクはローに一直線に向かっていく。
「ROOM」
薄い青色のサークルが海賊船を覆う。
「ふっ…!」 ブン!
ローは斬撃を飛ばすが瞬時にスザクに避けられてしまう。
「ちっ!」
それでも諦めないローは何回でも斬撃を飛ばしていくがいとも簡単にスザクは避けていく。
「この程度ですか?では、こちらから行かせてもらいます」
スザクは片腕を上げる。
「降れ!大海原の恵み!」
するとさっきまで明るかった船の上が厚い雨雲に覆われた。
ポツポツと雨が降り出したと思ったらすぐに嵐並みの雨が降る。
「くっ…!これじゃあ…!!」
視界が悪くて敵が見えにくい。
雨粒に紛れてスザクが斬りかかってくる。
「つっ!シャンブルズ!」
咄嗟に近くにあった剣と入れ替わる。
「お見事です。この視界の悪い中俺の攻撃をかわすのはルーキーではあなたが初めてですよ?」
どうです?海賊なんかやめて海軍に入りませんか?
ニコッと胡散臭い笑みを浮かべながら話してくる。