第10章 つかの間の休息
かれこれ並んで1時間やっとお店が開店した。
あぁ!もう長かった!!
こんなに並ぶことは滅多にないから寒さで凍えてしまうかと思ったよ!
そして、どんどん近づいてくる運命のとき…
さぁ!ご対面!!
…と思った矢先だった。
「ごめんねぇ。さっき買ったお客さんでもう売り切れてしまったの。
いつもならまだ余っているんだけど今日に限ってお客さんが多かったのよ」
運が悪かったわねととても優しそうなお母さんからとても残酷な言葉を聞いた。
「そ…そんなぁ…」
へにゃへにゃと座り込んでしまったスカーレット。
せっかく寒さの中1時間も並んでようやく買えると思った矢先の事だったので絶望は大きかった。
まだ、数日間滞在ならばチャンスはあっただろうがここは1日しかいれないのだからそんな望みなんてなかった。
「…代わりのお菓子を探すしかないか」
僅かな希望をめがけてスカーレットは新たなお菓子探しの旅に出た。
一方。
同じ冬島に一隻の海賊船の姿があったら、
「キャプテーン!!見て見て!俺、限定のアイスミルクレープっていうの買っちゃった!!」
ニコニコと欲しいおもちゃを手に入れる事ができた子供のような笑顔で白くまが話していた。
「俺、早速冷蔵庫に入れてくるね!
夕飯後に一緒に食べよう!」
そのまま線内に入っていった。
そう、ここは後に最悪の世代と呼ばれるようになるルーキーの1人。
トラファルガー・ロー率いるハートの海賊団だった。
するとバタバタと何やら騒がしい足音がローの近くまで来る。
「船長〜!船長!大変だ!」
そこまで叫べば嫌でも聞こえると言いたかったがそこは我慢してどうした?と話の内容を促す。
「この島に海軍がいるんだよ!」
帽子に“ペンギン”と書かれた男が息を切らしながら報告してくる。
「海軍か…あんまり長居はできねぇな。
見つかったら面倒だ」
しかし、どこか余裕のあるローの表情はペンギンの次の一言で一変する。
「しかも、ただの海軍じゃなくて。大将スカーレットが率いてる船なんだよ!」
「!ちっ!!厄介なヤツが来たもんだ。
おい、お前らとっとと出航するぞ!!」
いきなりの船長の声で一同驚くがその周りの雰囲気でいい事ではないとすぐに察したのだろう。
バタバタと動き出した。