第9章 忌まわしき日々
「防寒具出しておかなくちゃね」
冬島に何か美味しいものがあるといいんだけどな…
それにしても、さっきの夢はやけにリアルだったな。
まぁ、自分の事だからリアルなのは当たり前なんだけど。
「持ってきましたよ」
ポット、カップ、クッキーをおぼんのうえに乗せてやって来る。
その姿が夢と姿とかぶさる。
あぁ…今日はちょっとダメかもね。
すぐに夢と結びつけて思い出しちゃう。
「まぁ、少し気分を落ち着かせてください」
渡されたピーチティーを少し冷ましてから飲む。
鼻から通り抜けていく優しくて甘い香りに気分が落ち着いてくる。
ふと、上を見てみると…
「…わぁ、今日は星が綺麗だね」
冬島の気候に入ったのか空が澄んでいて満天の星空が頭上に広がっていた。
「流星でも見えないかな?」
「ひとつぐらいは見えるかもしれませんが、上を見過ぎて首を痛めないようにしてくださいね」
「うーん、あっ!そつだ!!」
私は甲板にゴロンと寝転がった。
「ちょっ!どこに寝転がっているんですか⁉︎」
汚れますよ!と言ってるがそんなのは気にしない。
「だってこうしたらずっと上を見なくても自然と見れるじゃん」
ゴロゴロと転がっていると意外にもスザクも横に転がった。
「いいの?汚れるけど」
先ほどスザクがしてきた質問をしてみる。
「今日くらい構いませんよ」
スザクが優しいのって珍しいな。
普段は真面目で気を抜いたりする事はないのに。
ま、張りつめられてダウンされたら困るから私的には全然良いんだけど。
「あ、流星」
「えっ!うそっ!!何処何処⁉︎」
「もうとっくに消えましたよ」
「あーあ、願い事したかったな…」
お菓子がいっぱいたべれますように〜とか暫くは任務がありませんように〜とかさ。
…スザクにバレたら厄介だけど。
「また直ぐに見れますよ」
「そうだと良いなぁ」
私は再び流星が流れるのを待っているのだった。