第9章 忌まわしき日々
その翌日からスカーレットとスザクの逃亡劇がはじまり数日後には海軍のちょっとした名物となっていた。
『はぁ、はぁ。また逃げられた』
ちょこまかと動き回るから困りもんだ。
ここ最近、スカーレット大佐と鬼ごっこをしているが毎回部屋に行くと書類はできておらず肝心の本人もいない。
『今日はどこに行ったんですか…』
スカーレットは神出鬼没でどこにいるのか全く分からない。
昨日は木の上で昼寝をしていたのを見つけたまでは良かったのだが気配に気づいたのか直ぐに目を覚ましそのまま逃げていった。
『大佐が行きそうな場所って…?』
なんとなく心当たりがあるのだが正直行くのがためらわれる。
仕方ない、行くか。
今日も大佐探しが始まる。
『あーもー!めんどくさいなぁ』
『めんどくさいからってわざわざここに避難しなくてもいいでしょ、全く…』
私は今クザンの部屋に逃げ込んでいた。
さすがのあいつもこんなところまでは来ないだろうし…
どうせあいつだって今は追いかけて来ていてもそのうち嫌気がさして辞めたいって言い出すだろうし…。
ガサゴソと勝手に冷蔵庫を漁り入ってあったプリンを食べる。
コンコンコン
『失礼します。こちらにスカーレット大佐はいらっしゃいませんか?』
『げっ…』
こんなところまで追いかけて来やがった。
これじゃまるでストーカーだよ。
『ったく…じゃあ、またねクザン』
私は窓から飛び降りた。
『あっ!また逃げられましたか…』
次こそは…っ!と意気込むスザクを青キジは興味深そうに見ていた。
『…なんでしょうか?』
『いや、別に。なんでそこまでレティに付いて行こうとするのかと思ってね』
今まで必死に探す奴はいたが次こそ!って意気込む奴はいなかったからね、と青キジは言った。
『俺は大佐が怖くなんてありませんから。“化け物”とか言う人たちもいますが、そんな事は思った事もないですし自分の道を歩いていく大佐の方がよっぽど人間らしいと俺は思っています』
失礼しました。といって再びレティを探しに行った。
『…レティ、今回はきっとあたりだよ。
きっとこの海軍であそこまでお前を思ってくれる海兵はそういない』
俺やガープさん達以外ならね。
彼はきっとレティの安らぎの場になってくれる。
そう青キジは確信した。