第4章 白ひげ
「さて、コビーの成果を見てやりますか」
一番最初に見た時よりどこまで強くなっているか楽しみだった。
もちろん、スザクが基礎をつけてくれたので何の心配もしていないが…
「コビーいる?」
甲板に出てコビーを探すと意外と直ぐにピンクの頭が目に入る。
…便利だな、あの頭。
本人に言ったらへこんだりするかもしれないが、あの頭のおかげで直ぐにコビーを見つける事ができるのは本当にいい事だ。
「コビー、約束通り今日は私が見てあげる」
そう告げると心底驚いたような顔をする。
「ほ、本当ですか⁉︎嬉しいです!!」
ぱぁっと顔が明るくなる。
うん。おもしろい。
「じゃあ、まずは一回でもいいから私を殴りなさい」
そう言うとピシッと音がする。
「えっ?ええっ!た、大将を殴るだなんて僕は…「勿論、抵抗はさせてもらうよ」
するとコビーの顔は安心した後直ぐにキリッと顔を変えた。
いい顔だね。
「制限時間は30分。存分に力を発揮しなさい。あと、スザク」
近くでコビーと私を見ていたスザクに声をかけた。
「何ですか?」
「15分ほど経ったら雨を降らして」
「…わかりました」
私が何をしたいのかわかったのだろう。
少し間をおいて承諾してくれた。
「あの…雨を降らすってどうやって?」
「コビー、まだ知らなかったの?」
もう、とっくにスザクが教えていたと思っていたのに。
「?何をですか?」
私がスザクの方を見ると、目を逸らした。
「私の能力のことは?」
それすらも伝えていないのだろうか?
じゃあ、私は何も知られないまま能力を使っていたの?
別に困ったことはないんどけど…。
「あ、いえ大将のことは聞いています。能力も…その…」
少し気まづそうな顔をするコビーに私の過去のことも聞いたってことが一瞬でわかった。
なるほどね。
私のことは話したのに、自分の能力のことは何も話してなかったのね…。
チラッとスザクを見るとこちらも気まづそうな顔をしている。
珍しいスザクの顔に思わず笑が込み上げる。
「スザク、話したら?」
私の能力のことだけ話して、自分のことは何も話していないのは許さないんだからね。