第13章 終局
風たちに案内されてついた一つの島。
そこは白ひげが眠る島だった。
私たちは持ってきていた花束とお酒を白ひげに添えた。
「親父…」
エースはそれっきり何も話さない。
実際に白ひげの墓を見て声が出ないようにも見えた。
「…久しぶりだね、白ひげ。見ての通りエースは無事に助かったよ。今日はあんたに言いたいことがあってきたんだ」
エースは何も言わない。
じっと白髭の墓を見ている。
「あんたに頼まれなくても私はこれから先エースといるよ」
そういうとエースはやっと顔を上げた。
その頬にはかすかに涙の跡があるのがわかる。
「あんたに代わってこれからは私がエースと一緒にいるよ」
白ひげに会いに来たのはこれを言うのが一番の理由。
本来なら機能には返事をするはずがバカ3人組のせいで返し損ねたから白ひげに報告するついでに伝えることにしたのだ。
「スカーレット…今…」
信じられないという顔をするエース。
私はなんだか恥ずかしくなって思わず顔をそらした。
「さて、積もる話もあると思うから私は離れたところにいるし気が済んだら呼びに来てね」
そういうとエースの返事を聞くこともなく私は墓から離れた。
しばらくするとエースがこちらにやってきた。
「もういいの?」
「ああ、親父ともゆっくり話せたよ」
エースの顔は随分すっきりしたように見えた。
「なぁ、スカーレット。さっき親父の前で言ってたことは本当か?」
あまり自信なさそうに聞いてくるエースに少し意地悪したくなる。
「ふふっ!さぁ、どーでしょう?期待する方に解釈していいよ」
そういうとエースの顔は分かりやすいくらいにぱぁっと明るくなった。
「っ!スカーレット!!」
「うわぁっ⁉」
ものすごい衝撃とともにエースが抱き着いてきた。
しかも絞め殺す勢いでぎゅーぎゅーと。
「エーズッ!ぐるじい…」
「だってうれしくってよ!」
エースの顔はゆるっゆるになっていた。
まぁ、それだけ喜んでもらえるのは嬉しいよね。
「とりあえず帰ろっか」
スザクとかが首を長くして帰りを待ってそうだし。
「そうだな!」
無事に島に帰るとみんながニマニマとした気持ち悪い顔をしており、スザクだけは何とも言えない顔をしていた。