第13章 終局
この男は何を言っているんだろう今笑ってほしいって言った?
「えーっと、今?」
「今!」
おおぅ、そんなにかぶせ気味で言わなくても…。
てゆーか
「笑ってって言われて笑えるほど器用じゃないというか…」
いつも笑ってるのは本当に自然とというか、そんなに意識して笑うことないし。
「いいから笑え!無理やりでも何でもいいから!」
そういうとエースはむぎゅーっと私の両方のほっぺたをつまんできた。
「ひょい、ちゃんま!!いきなひにゃにをっ⁉」
「笑えないっていうから表情筋を上げてやってんだろうが!」
そ、そんな無茶なっ!
エースはお構いなしにこれでもかというほど強くつまんでくる。
ちゅーか、
「痛いわぁ!!」
ボゴッ!
「ぼべっ!」
私は思いっきりエースを殴っていた。
「あ、ごめん」
あまりの痛さについ…
ふと、エースの顔を見ると面白いぐらいに変形していた。
「…ぷっ!あはははっ!何その変な顔!!」
「お前がやったんだろ!!」
あまりにもおかしくって今度は全然笑いが止まりそうになかった。
「…そっちのほうがいいぜ」
ぼそっとエースが何かを言った気がした。
「うぇ?何??」
見るとエースの顔は少し赤くなっているように見える。
「よくよく考えたら俺はインペルダウンで会った時に覚悟してたんだ。もう伝えることも笑顔を見ることも出来ねぇんだろうなって思ってた」
生きてることが奇跡なんだよなとエースは笑う。
「だからさ、これからもずっと笑っててほしいんだ。スカーレットには」
その笑顔はとても優しかった。
「スカーレット、俺はお前が好きだ」
何を言いているのか分からなかった。
第一いきなりすぎやしないだろうか。
まさかこんなタイミングで言われるとも思っていなかったし、ましてやエースが私をそんな対象としていていたのも全く分からなかった。
「…スカーレットはどうなんだよ」
なかなか返事を返さない私にしびれを切らしたみたいだ。
「わ、私は…」
ガサッ
何かが聞こえた。
いや、これは…
「はぁ、ルーチェフルスタ」
音のしたほうに能力で作った鞭をふるい、盗み聞きをしていた3名を捕らえた。