第13章 終局
「…スカーレット?」
名前を言われた瞬間私の中の何かが外れた。
「~っ!エースっ!!」
エースが重症なのをお構いなしに思いっきり抱き着いてやった。
「ちょっ!レティ!流石に飛びつくのは!!」
スザクの戒めの声が聞こえたけど今はそれどころじゃなかった。
エースが生きてる。私の名前を呼んでくれた。
それだけで胸がいっぱいいっぱいだった。
「本当にスカーレットなのか?なんでこんなところに?」
寝起きのエースは混乱中のようだ。
相変わらず私はエースに抱き着いて涙を流しているのでエースはスザクに視線を向けて説明を求める。
それに気づいてスザクは一度軽い溜息を吐いて
「本来ならレティから話すのが道理なんでしょうけど、この状態ですしね。簡単に言うと海軍をやめてここにやってきたんですよ」
「…はあぁぁぁ⁉」
数秒経つとエースは大声を上げた。
ただでさえ混乱していた頭がさらに混乱したようだ。
「んじゃ、あとは二人でゆっくりしとけよ~」
シャンクスはスザクやマルコ達を引き連れて行ってしまった。
残ったのはいまだにぐずぐず言っているスカーレットと混乱中のエースだけ。
「えーっと、スカーレットさん?いい加減になきやんでほしいんですけど…」
顔を真っ赤にしたスカーレットはしぶしぶ顔を上げた。
「もう怪我は大丈夫?」
最初よりはだいぶ泣き止んでいた。
「ああ、スカーレットのおかげだ。ありがとな」
エースが笑ってくれた。
もしかしたらもう二度度見ることができなかったかもしれない笑顔。
そう思うとまだまだむながいっぱいになっていく。
そのおかげでどんどん目に涙がたまっていくスカーレットを見てエースはまたワタワタと慌てる。
「わわっ!もう泣くなよ俺は生きてんだからさ」
「分かってるよそんなことぐらい!」
そんなことは言われなくても分かってる。
けど、今日一日ぐらいはこの感動を味合わせてほしい。
「あー、俺のために泣いてくれるのはうれしいんだけどよ俺的には泣き顔よりも別の顔が見たいというかなんというか…。あーくそっ!だからっ!」
エースは自身にくっついているスカーレットの肩をつかみぐいっと離し、目を合わせた。
「だから、俺が言いたいのは」
ー笑ってくれよー