第13章 終局
「な、なんじゃこりゃ~!!」
しばらくたってようやく起きたシャンクスは第一声をあげた。
理由を知っている私はくすくすと笑うだけ。
「どうした⁉お頭!!」
シャンクスの声を聞きつけた船員たちがドタドタと甲板に流れ込んできた。
「なんで俺、こんな姿になってんだ⁉」
そう、シャンクスは今何ともかわいらしいこぐまの姿になっていた。
船員たちはもちろん副船長のベンでさえ唖然としていた。
「スカーレット!お前の仕業だろう!」
シャンクスは短い脚を頑張って動かして私のところまでやってくる。
その姿に思わずきゅんとしてしまい膝の上に乗せた。
「だって、いびきがうるさかったんだもん。だからせめてかわいい姿なら許せるなって」
「それでこの姿か…、早く戻してくれないか?」
流石のシャンクスも参っているのかしょんぼんとしている。
「だーめ、今日一日はその姿で私の癒しになってて。ちゃんと明日には戻るから」
海軍から離れても男の人ばかりでたまには癒しもほしくなるのだ。
「レティ、今朝言ってたピーチティとケーキを作ってっみました」
「やった!スザクのケーキ!!」
スザクは私の膝の上にいるクマに焦点を置いた。
「レティ、その熊は一体…?」
「これ?シャンクスだよ。癒しがほしかったからクマに変えちゃった」
それを聞いてスザクは憐みの目をシャンクスに向けた。
唖然としていたベンも正気に戻ったのか苦笑い。
「たまにはいいんじゃねぇか。お前らは持ち場に戻れ!」
指示に従って船員たちはバタバタと散らばっていった。
私はシャンクスをそのまま膝の上に置いてスザクが持ってきてくれたピーチティとケーキを堪能することにした。
「うーん、スザクのお菓子久しぶりに食べた~。相変わらずおいしいね!」
久しぶりに作っても味が落ちてなくスカーレットを喜ばせた。
スザクもその様子をみてほっとしていた。
一方のシャンクスは変わらずスカーレットの膝の上で過ごしておりそのままぐだぐだ過ごしていた。
スカーレットはその日一日シャンクスを放すことはなく、ひたすらかわいがり続けていた。
もちろん次の日にはちゃんと宣言通りもとに戻っており、一安心していたシャンクスを見れたとか見れなかったとか。