第13章 終局
私は持ってきた飲み物をあおった。
シャンクスのこう言う鋭いところは苦手だ。
「ま、エースもだいぶ回復してんだ。心配することはないさ」
言うことは言ったとでもいうようにシャンクスはまたにぎやかなほうへと戻っていった。
「ほんっと、変な人」
私はそのまま横になり自然ときた睡魔に身を任せた。
「…ィ!…ティ!起きろ!レティ!!」
「うわぁっ!」
朝、突然スザクに起こされました。
あれ…私ひょっとしてあれから寝ちゃったんだ。
シャンクスと話していたのは覚えているけどそのあとのことが全く記憶がない。
「大丈夫ですか?こんなところで寝て。風邪とかひいていませんか?」
「ん、大丈夫」
床で寝てたせいで体のあっちこっちが痛い…
時間的にはおそらく昼前なんだろうけど、まだほとんどの人間は甲板に寝そべっていた。
…こんなので大丈夫か?赤髪海賊団。
ちゃんと動いているのは二日酔いのためつぶれてしまっている船員を介抱している医者とベンぐらいだった。
「スカーレット、起きたか」
朝一番からため息をはいていたベンは私に気付いてくれた。
「うん。おはよう」
甲板を見ると何とも言えない惨状が広がっている。
「レティもよかったらどうですか?」
ふんわりと香ってきたのはハーブティ。
柔らかな香りで心が落ち着き、甲板で寝て冷えた体を温めてくれた。
「うーん、おいしい。なんだか久しぶりにスザクのピーチティが飲みたくなっちゃったなぁ」
とさりげなくおねだりをしてみる。
その真意を受け取ったスザクは
「…はぁ、仕方ありませんね。わかりましたお菓子とともにお入れしましょう」
「やったぁ~!」
私たちのこのやり取りを見ていたベンは「海軍の時と全然変わってねぇじゃねぇか」と漏らしていたことは知らない。
お昼頃になるとやっとこさみんな起きだした。
ただ一人を除いては…
「ぐがぁ~、んぐぉ~」
「シャンクスのいびきうるさい」
海の中に放り込んでやろうかしら。
そうしたら少しはマシになるんじゃないかしら?
「…あ、いいこと思いついた!」
まるで名案!とでもいうようにスカーレットはシャンクスに向かって能力を発動した。