第12章 頂上戦争
白ひげ海賊団はトドメを刺してくれと白ひげに頼んでいる。
しかし、白ひげは動かない。
いや、動けない。
あの出血量はまずいっ…!
どうにかしてこの錠を外さないとっ!
幸いにも監視長はいつの間にか消えていた。
「つっ…!くそぉ!」
海楼石ってこんなにも力を奪うんだ。
早くしないと!
白ひげが黒ひげに最後の攻撃をしようとした時、何発もの銃声が聞こえた。
見ると黒ひげ海賊団全員が白ひげを攻撃していた。
「つっ…!!やめろぉぉぉぉ!!!」
声を荒げるも攻撃は続けられている。
「…やめてよっ。お願いだからぁ…!くっ…」
たとえ敵という立場であっても嫌いになることなんてできなかった1人。
その人が攻撃をされているのに何もできない自分が今すぐに殺してやりたいほど憎かった。
銃声がやむと白ひげはもう立っているだけのように見えた。
「お前じゃねぇんだ…」
あれだけ弾丸を食らっていて白ひげはまだ意識があった。
「ロジャーが待っている男は少なくともティーチ、お前じゃねぇ。」
数百年の歴史を持ってこの世界に戦いを挑むものがいると。
センゴクや世界政府はいつかくるその世界を巻き込むほどの巨大な戦いを恐れていると。
「興味はねぇが、あの宝を誰か見つけた時、世界はひっくり返るのさ」
あの宝というのはおそらくワンピースの事。
それを見つけたのが海賊王 ゴールド・ロジャー
「誰かが見つけ出す。その日は必ず来る!グララッ」
センゴクの顔が険しくなる一方で白ひげはいつもの笑顔を見せた。
「スカーレット」
白ひげに名前を呼ばれた。
「どーしようもねぇバカ息子だが、エースの事は頼んだぞ」
「…え?」
白ひげは大きな深呼吸をすると
「ワンピースは実在する!」
その一言がマリンフォード全体にひびきわたったのだった。
そのまま白ひげは動かなくなった。
「嘘…」
「ゼハハッ!見事な遺言だ!」
白ひげが死んだ?
世界最強の男が?
泣き崩れる白ひげ海賊団を見て現実だと理解した。
立ったまま死んでいった男の姿にこれほどかっこいいと思えるものはないと思う。
「う…うわぁぁぁん!」
未だかつてこれほど泣いた事があったのだろうか?
自分では抑えがきかないほど、私の目からは涙がこぼれ落ちた。