第4章 めぐりあい
力なく項垂れる男とその腕を肩に回して駆けていく二人の男達。
自分のもとから去っていく追い剥ぎ達の背をしばらく眺めた彼はさて、と木の根もとを見下ろした。決して大きな声をあげていたわけではないが短くない追い剥ぎ達とのやりとりが終わっても、女は一度も起き上がることはなかった。
まさか、と思い口元に手をかざした彼はしばらくして安堵のため息をついた。大きな彼の手のひらには確かな吐息が暖かな空気となって吹きつけていたからだ。
口元にあてがった手を自分のもとへと引っ込めると彼は女の体についた土埃をそっと払った。うぅん、と小さく呟きながら顔をあげた女。顔にかかっていた長い髪がさらさらと脇に流れていき、見えなかった顔が月の光りに照らされて彼の目に晒されていく。