第4章 めぐりあい
円の中で、彼がこちらを見つめて、笑っていた。目尻に微かな横皺を刻み、口の端を僅かに上げるその顔つきは確かに『笑っている』と言えるはずなのに。
どう言い表せばいいか、うまく説明はできない。だけれども言いようのない恐怖を、頭はその笑みから感じた。
「笑っている」顔の奥に見える暗く冷たい光を宿す目もとからか、皺のように深く、濃い影を作り出している大きな傷からか。端正であったはずの顔が醸し出す不気味さからか、全身から滲み、溢れる「気」からか。はたまたその全てからなのか。
わからない、だけどそれ故に頭は恐ろしいと思った。
そして先程からずっとどうしようもないほどの恐れを彼に抱いてる自分に、苛立ちを覚えた。