第6章 運動会
9月××日
カラ松side
もうすぐ9月も終わろうかという頃だ。
二階の部屋で六人そろってゴロゴロしているとマミーがやってきた。
「ニート達、来月赤塚商店街の運動会があるんだけど母さんと父さん用事でいけないからあなた達に出てもらうって言っておいたから」
そう言って一枚の紙をチョロ松に渡してブーブー騒いでいるブラザー達に「一位には商店街で使える商品券、MVPには豪華景品があるらしいわよ?」とニンジンをぶら下げて去って行った。
渡された紙には競技と出場者名が記されている。
出場者名が十か所ほど空欄になっていて、そのうち六か所が赤くマジックで縁取りされていた。
「この赤く縁取ってるところを僕達の名前で埋めろってことなんだろうね」
チョロ松が顎に手を当て言った。
俺達が出るのはリレーと障害物競走と騎馬戦と借り物競争に一人ずつ、二人三脚に二人。
それから綱引きは全員参加と書かれてある。
そして、名簿の下には手書きの文字で今週の日曜日に話し合いが行われる旨が記されていた。
十四松はかなり乗り気なようで袖をバタバタしながら身を乗り出した。
「ねぇねぇ!早く誰がどの競技に出るか決めようよ~!僕、障害物競走がいいっす!」
障害物競走は即行で十四松に決定した。
「俺、借り物競争とか絶対出ないから」
一松が小さく言う。
確かに、観客に声を掛けなければならない借り物競争は一松には荷が重い。
下手をすれば俺の大切な一松の下半身が公衆の目に晒されることになる。
それは避けたかった。
「一松は何になら出られる?」
「借り物競争は論外、でもこの中じゃ俺が一番走れないと思うし・・・騎馬戦?カラ松が二つ出てくれてもいいよ、フヒ」
正直俺はそれでも構わないと思ったが、なんだか障害物競走以外の枠全てを埋めさせられそうになったので、そこは一松を説得した。
「リレーはおそ松兄さんかカラ松がいいんじゃないかな?」
チョロ松が言う。
「まぁ、十四松を抜けば俺とカラ松が速いからね?」
「それもそうなんだけど、商店街の運動会ってことは結構年輩の人が多いと思うんだ。ってことは若い僕たちはアンカーを走らせられる可能性が高い。僕には荷が重いよ。」
「確かに、僕もそれは荷が重いかも・・・」
トド松が賛同する。
そこで俺達は外に出た。