第4章 二人のカタチ
カラ松side
今日は二階に一松と俺の二人っきりだ。
付き合い始めてから二人で猫の餌やりや買い物に行ったり、皆が寝静まってから一松を抱きしめて寝たりはしたがそれ以上の事は何もやっていない。
というのも、一松の心がまだ追いついていないと感じている。
一松には無理をさせたくないから俺はゆっくり一松のペースに合わせて二人の愛を育んでいくことにした。
そんな俺にとって狭い空間に二人きりという状況は拷問も同じだった。
俺は理性を保つため一松から少し距離を取る。
窓を開け、そこに座って鏡を覗き込んでいた。
しばらくして一松がこちらに向かってきた。
「・・・・・・・・・」
俯いて何も言わない一松に俺は笑顔で聞く。
「どうした?マイハニー」
「・・・なんで近くに来てくれないの?」
「へ?」
俺は間抜けな声を出した。
「もう、俺の事飽きちゃった?愛想つかした?」
「な、ちょっちょっと待ってくれ一松何を勘違いしているんだ?」
「じゃあ、何で・・・」
一松は俺の袖をつかんで俯いたままだ。
その手がかすかに震えていた。
一松を不安にさせてしまったことに気が付く。
俺はとりあえず窓から降り、畳の上に胡坐をかくと一松の腕を引き、俺の組んだ足の上へ座らせる。
そして一松の頭を自分の胸へ抱き寄せた。
「俺は一松を愛している。だから傷つけたくないし怖がらせたくもない、幸せにしてやりたい。だから一松のペースに合わせて愛を育んでいきたいと思っている・・・しかしだな・・・」
俺は少し顔が火照るのを感じながらも一松の不安を拭い去るためだと言い聞かせ口を開く。
「しかし、こんな二人っきりの状況で我慢するのは男としてはきついものがあるんだ・・・わかって欲しい」
一松は言葉の意味を理解したのか俺の顔を見て顔を真っ赤にする。
火照りからか目はうつろで上目遣いで俺を見上げる。
それが俺の理性を崩そうとする。
俺はすまないと一言、一松を膝から降ろすため両脇に手をかけた。