第3章 勇気
ぺろっ
「------っ!!!」
唇・・・舐め、られた!?
思っていたのとは違う衝撃に体が硬直した。
「一松、力を抜いてくれないか?」
「は?・・・へ?」
間抜けな声を上げた俺を見てカラ松はクスリと笑っていた。
「力を抜いてくれ、舌が入れられない」
「そ、そんなことできるわけなっ、んんんんん!!」
台詞の途中で口をカラ松のそれでふさがれ、同時にカラ松の熱い舌がぬるりと侵入してきた。
「ふっ、はぁ・・・ん」
長く深いキスに意識がぼーっとしてきた頃カラ松が離れて行った。
「気が済むまで好きにしていいんだろう?一生かけて償ってもらうぜ?」
「は!?」
「たった一度のキスでは気が済まない!」
「そういうこと言ってんじゃねぇよ!な、ななな何でキス・・・なん、だよ//////」
「何でって、好きな人とキスしたいと思うのは当たり前だろう?」
「でも、俺のせいで死にかけたんだぞ!?」
「だからそう思っているなら俺の好きにさせてもらう。俺は一松を愛しているから一生かけて俺の愛を受け取ってほしい」
カラ松はにっこり微笑んで触れるだけのキスをしてきた。
こんな俺に無償の愛を注いでくれるカラ松。
俺はこいつに何をしてやれるんだろうか?
今まで自分の気持ちに嘘をついてカラ松を遠ざけることに使っていた勇気を・・・いや、これは勇気なんかじゃない。
逃げていたんだ。
臆病者だった。
偽物の勇気じゃなくて本物の勇気が欲しい。
もっと自分の気持ちを言葉に、行動にできるようになりたい。
カラ松に近づきたい。
「カラ松・・・」
俺が今カラ松にやってあげられること、やらなくちゃいけないことは
「何だ?」
きっと・・・
「もっかい・・・キス、してよ」
素直な気持ちを伝えることだ。