第18章 二人きりのクリスマス(クリスマス)
おそ松side
一松作の特大から揚げを幸せいっぱいの顔でほおばるカラ松を頬を赤くして見つめる一松。
それを微笑ましそうに見つめるトド松とチョロ松。
ひたすら料理にがっつく十四松。
その向こう側には向かい合って幸せそうにプレゼントを見つめながら食事をする父さんと母さん。
俺はそんな幸せそうな皆を眺めながら何度目になるのか、缶ビールのプルタブに指を掛けた。
プシュッという音を聞いてクーっと半分くらいまで一気飲みする。
「おそ松兄さん、良い飲みっぷりでんなぁ~!」
ローストチキンを両手に十四松が俺の隣にやって来た。
「十四松も楽しそうじゃん?」
「うん!すっげー楽しい!」
飛び跳ねる十四松の足は白いソックスの上に暖かそうなもこもこのクリスマスカラーの靴下が覆っている。
チョロ松からのクリスマスプレゼントだ。
「あったかそうだね~」
「すっげーあったかいよ~」
いいでしょーと靴下を見せるために足を高々と上げた事でバランスを崩して倒れた十四松に文句を言いながらも手を貸すトド松に俺は声を掛けて手招きする。
少し嫌そうに俺のもとに来たトド松はやっぱり嫌そうに俺の隣に腰を下ろす。
「何なの、おそ松兄さん」
「そんな嫌そうな顔しなくてもいいだろ~?プレゼントのお礼を言おうと思っただけだって~」
「お礼なんて・・・別に・・・」
俺はポケットの中から財布を取り出す。
中身なんてほとんど入っていないぺちゃんこの財布を開けて中身を全て取出し、ジッパーに付けてあった以前カラ松と一松にお土産で貰ったストラップを外してトド松に渡した。
「ちょっともってて?」
「はー?テーブルに置いたらいいじゃん」
「俺の全財産が取られちゃ困るだろ~?」
俺はわいわいと賑やかにしている他の兄弟を見遣った。
トド松はこんなの取ったって何の足しにもならないと言いたげな目で自分の両手の中を見つめている。
俺は傍に置いてあったリボンの解かれたピンクの箱を開けて中身を取り出した。
改めてプレゼントを眺めてトド松にお礼を言う。
「サンキュー」
「ど、どういたしまして」
俺はストラップを受け取ってプレゼントに付けなおしながら問う。
「ねぇねぇ、何で赤い財布にしたの~?」
恒例のプレゼント交換で俺のもとに来たのはピンクの箱のプレゼントだった。
そしてその中身は赤い財布。