第15章 スイートよりビター
一松の頭の上には真っ白の猫耳、俺の顔にはサンタを思わせる白いひげが出来上がっている。
一松は風呂に浮かぶ泡を取っては器用にそうやって形を作って遊んでいる。
俺はそれを感心してみていた。
すると一松が立ち上がる。
体も大分温まったし上がるのだろうと思って俺も浴槽から出て大きなシャワーヘッドを手に取った。
そして名残惜しみながらも一松の作ってくれたひげや体の泡を流していく。
「ね、見てよ」
不意に呼ばれて振り返って、俺はシャワーヘッドをゴトーンとタイルの上に落っことした。
「い、一松!?」
「ヒヒ、お前反応早すぎ」
一松が指さす先ではマイサンがタッティーなうだった。
フヒヒヒと個性的に笑う一松は頭には先ほどのまま猫耳を付けていて、更に胸と下半身に下着を思わせる泡を纏っていた。
「いちまぁ~つ、俺を誘っているのか?」
「は?んなわけないでしょ」
一松は浴槽から出てくると俺の足元で勢い良くお湯を吐き出しているシャワーヘッドに手を伸ばす。
吐き出されるお湯が、一松にかかり隠れていた胸の突起や一松の自身が顔を出した。
それを見てゴクリと唾を飲む。
何だろう?
ラブホテルに居るという感覚からなのか、この怪しく鮮やかにぼんやりとライトが照らすこの空間の所為なのか、凄く興奮した。
俺のマイサンは正直に反応し、早くもへそを突き上げる。
今度はそれに気づいた一松がシャワーヘッドを落っことした。
「はっ!?お前、何なのそれ!?」
「お前が誘うからだぞ?」
だから誘ってないと慌てた声を上げる一松を抱き寄せて噛み付くようなキスをする。
突然のキスに、早くも不足した酸素を求めてはっはっと短く息をする一松が色っぽくてさらに俺を興奮させた。
「ぷはっ・・・はっ、ぁ・・・」
このままでは歯止めがきかなくなると思い、なんとか唇を離した。
そして、お互いの体を流し、一松の体を抱き上げて浴室を後にした。
初めてのラブホテルという二人だけの空間でのメイクラブだ。
ゆっくりじっくり味わいたかった。
ベッドに向かうまでの間に少しでもこの興奮を抑えようと深呼吸を繰り返した。