第14章 熱に浮かされて(バイト編)【紅松】
一松side
正午、二階で寝ていたおそ松兄さんとトド松が居間へやってくると俺達は昼食を済ませて全員で家を出た。
俺と十四松とチョロ松兄さんは新聞社に、おそ松兄さんとトド松はコンビニにそれぞれの給料を受け取りに向かう。
そして、動物病院で落ち合った。
何度か面会に来ていたので顔を覚えていた看護師の人が笑顔で駆け寄ってくる。
「松野さん、猫ちゃんすっかり元気ですよ!今日、予定通り退院できます。今、猫ちゃん連れてきますね」
そう言って奥の部屋にへ入っていくとしばらくして猫を連れた看護師が出てきた。
おそ松兄さんが俺の背中をポンと押して、俺の足が一歩出る。
俺はそのままゆっくり足を進めた。
二日前にも面会に来たのにまるでずっと会っていなかったような気持になって感極まった。
その時、猫が看護師の腕から這い出てきて俺の胸に飛び込んできた。
俺は滲む涙を拭う様に猫の背に顔を埋めて抱いた。
「ごめん・・・」
顔を上げて、猫の顔を見ながら言う。
するとにゃーと力強く一鳴きした。
都合がいいようだけど、お前の所為じゃない、謝るなって言われてるような気がした。
よかったなと皆が俺の肩を叩く。
俺は小さくうなずいた。