第13章 働く六つ子(バイト編)
チョロ松兄さんの声に飛び起きた。
慌てて時計を見たけど、時刻は三時。
丁度起きる時間で胸を撫で下ろした。
チョロ松兄さんを挟んで向こう側ではおそ松兄さんが眠い目をこすりながら寝間着を脱いでいる。
・・・あれ?何でチョロ松兄さんは僕達を起こしてくれたんだろう?
とそこで疑問に思って、チョロ松兄さんに視線をやるとチョロ松兄さんは眉を下げて笑って言った。
「僕にはこのくらいしかしてあげられないからね。気を付けて行って来いよ?」
そう言って、お休みと再び布団に潜り込んだ。
早くしろとおそ松兄さんに言われて慌てて着替えるために立ち上がる。
広い広い布団に眠るのはチョロ松兄さんだけだ。
僕はチョロ松兄さんにお礼を言って襖を閉めた。
新聞配達を終え、家に帰ると居間から明かりが漏れているのが見えた。
まだ時刻は五時を回ったところだ。
母さんが起きるにはまだ少し早い。
僕とおそ松兄さんは見合わせて居間を覗いた。
そこではチョロ松兄さんが三つのマグカップを準備して待っていた。
「お帰り、二人とも寒かっただろ?ココア入れるから飲みなよ」
「お、チョロ松気が利くぅ~」
「ありがとう!チョロ松兄さん!」
僕も、こんな素敵な兄弟を持てたことをとても嬉しく、幸せに思った。