第11章 別れ(モブサイコ編)
病室の前に来た時、「勝手にしろっ!」と怒鳴りながらおそ松兄さんが病室から出てきた。
おそ松兄さんは俺を見やると顎でクイッと病室を指す。
いったい何を話していたのだろうかと少しドキドキしながら病室に入り、カラ松に視線を合わせられないままベッド横の椅子に腰かけた。
沈黙が流れるのだと思っていたけど腰かけてすぐにカラ松が口を開く。
「別れたい理由は本当に俺を嫌いになったからなのか?」
「・・・それは」
一瞬言葉に詰まる。
だけど、チョロ松兄さんの言葉を思い出し意を決して自分の思ってることを話した。
「違う・・・俺、お前の血があふれ出るの見て怖かった。怖かったのに体は止められなくて・・・ごめん。もう、誰かが傷つくのは見たくない。チョロ松兄さんに言われたよ、それを見て自分が傷つくのが怖いだけだって。その通りだよ・・・フヒ」
「そうだったのか・・・すまなかった一松。俺の行動がお前を一層傷付けた。おそ松から叱られたよ。俺は目の前の苦しむ一松を守りたい一心で行為に及んだ。先の事を考えればできない選択だった。こうやってお前を苦しめることになるんだからな・・・」
カラ松は泣いていた。
そして俺をベッドに引き寄せて抱きしめた。
そして愛おしい声が耳元で囁いた。
だけど、それはいつもと違って震えていて
甘い言葉ではなかった。
「一松、俺はお前を守る資格がない・・・別れてくれ」
一瞬何を言われているのかわからなかった。